2021年が始まりました🎍
明けましておめでとうございます。
CBコンサルティングの鎮目です。
突然ですが、お年玉で使うポチ袋、なぜポチ袋と言われるかご存じですか?
ポチ袋は関西から全国に広がったそうで、「少しだけ」の意味をもつ、
古い関西弁の「ぽちっと」という言葉が由来だそうです。
心ばかりの僅かなお金を入れ、感謝の気持ちやお祝いの気持ちを伝えるのがポチ袋。
心と心が触れ合う、こういう日本の文化は大事にしていきたいですね。
今年はお年玉を直接受け渡す機会を失った
お子さんやご高齢者が多くいたのではないでしょうか。
来年こそは必ずその場を取り戻す!皆で築いていきましょう!!
さて本題です。
今回のコラムでは今年の8月から施行される調剤薬局の認定制度、
「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」の内、
地域連携薬局について考えていきたいと思います。
地域連携薬局
直ぐに認定取得に動く!という方は、現時点では少ないのではないでしょうか。
そもそも取得すべきかどうか、判断がつかない方が多いように感じます。
先に私なりの答えをお伝えすると、
なに言ってるんだ君は?という気持ちは一旦ぐっと押し込めてください。
それぞれの理由を書いていきます。
ⅰ.取得するだけでは変わらない
そもそも地域連携薬局とはなんなのか。
厚生労働省が公示している内容を以下に記載します。
(引用元:厚生労働省「2040年度を展望し誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて」)
▼地域連携薬局
「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、
患者が自身に適した薬局を選択できるよう、
入退院時の医療機関等との情報連携や在宅医療等に、
地域の薬局と連携しながら一元的・継続的に対応できる薬局。
▼認定要件
- 利用者が座って服薬指導を受けることができるパーテーション等で区切られた相談窓口等の設置
- 地域包括ケアシステムの構築に資する会議への定期的な参加
- 他の医療機関に勤務する医療従事者への報告・連絡実績(一定程度の実績)
- 開局時間外の相談応需体制、休日夜間の調剤応需体制、麻薬の調剤応需体制等の整備
- 継続して1年以上勤務している常勤薬剤師の一定数以上の配置
- 地域包括ケアシステムに関する研修を終了した常勤薬剤師の一定数以上の配置
- 実務に従事する薬剤師への計画的な地域包括ケアシステムに関する研修の実施
- 他の医療機関に対する医薬品の適正使用に関する情報提供の実績
- 在宅医療に関する取り組みの一定程度の実績
こちらをクリアし都道府県知事より認定を受けると、
地域連携薬局という名称表示が可能となります。
要は地域包括ケアシステムの中で、患者と地域のハブ役になれ!
それによって選ばれる薬局になれる!という建付けです。
それ自体は凄くわかりやすく良いと思いますが、
じゃあ認定されたら上手くいくのかというと、
皆さんもお感じの通りそんなに生易しいものではないかと考えます。
そもそも調剤薬局に来る患者の満足度調査を見ていると、
薬局を選ぶ際のポイントは「利便性(立地)」「待ち時間」が80%弱を占めます。
残りの約20%が「相談できる薬剤師がいる」です。
今の日本国民の意識レベルでは、これが実状。
なんでも相談できる体制が整っていますよ!というだけでは患者は来ません。
少し乱暴に例えると、コンビニエンスストアが正にそうかと思います。
そこにしかないという商品や、割引クーポンがない限り、
大多数の方は「利便性」の良い近くのコンビニで事を済ませます。
コンビニはA社と決めている!という方は皆無に近いのではないでしょうか。
つまり地域連携薬局の認定を受けて「選ばれる薬局」の称号を得ても、
それだけが目的になっていたら患者は来ず、
経営にはプラスにならないどころか、むしろ認定を受けるためのコストや
維持するためのコストでマイナスとなることが目に見るように想像できます。
ⅱ.それでも取得をすべき
ではなぜ取得をすべきと考えるのか。その理由は二つ。
一つは、固定患者と流動患者の割合を変えること。
外来患者は先述した通り、目の前に新たなクリニックや
大規模マンションなどが出来ない限り大幅な増加は見込めません。
薬局の広さなども併せて考えると上限が見えてきます。
だとすれば、その中でどれだけの安定収入を確保していくかがポイントになります。
こちらも先述した通り、割合は低いですが薬剤師や薬局の環境によって
かかりつけを選ぶ方々は約20%いらっしゃいます。
新規の呼び込みは厳しくても、この20%の既存患者を確保するには有効です。
もっと言うと、しっかりと固定患者を確保することが、流動的になった今の社会では必要です。
二つ目は、患者を待つ外来依存経営からの脱却。
先述した通り、外来患者は上限が見えてきます。
売上をのばすには店舗展開か医師誘致が今までのセオリーでしたが、
年々その対応は厳しくなっています。
※以下コラムに理由を書いているので、よければ併せてご覧ください。
国の動きからもわかる通り、患者を呼び込む待ちの経営から、
患者に会いに行く攻めの経営が売上をのばすセオリーに変わりました。
攻めるとは、地域包括ケアに参入していくと同義です。
そのためには他職種法人から選ばれる必要があります。
同じ医療や介護業界で経営をする他職種法人から選ばれるためには、
地域連携薬局の認定は有効ではないでしょうか。
長くなりましたね。笑
まとめます。
地域連携薬局とは、患者が自身に適した薬局を選べるように
するための認定制度と厚生労働省が発信。
⇓⇓⇓
但し日本の実状は、薬局を機能で選ぼうとしている患者は全体の約2割。
ただ取得しただけでは大幅な患者や売上増は見込めない。
⇓⇓⇓
外来患者を増やしていくということ自体、一部の例外を除いては年々難しくなっている。
⇓⇓⇓
地域包括ケアに参入し在宅患者を増やしていくのが、これからのセオリー。
⇓⇓⇓
地域の他職種法人から選ばれる必要があり、
そのためには地域連携薬局は非常に重要な称号となる。
これが私の考えです。
患者から選ばれるための認定制度ではなく、
地域から選ばれるための認定制度ではないでしょうか。
売上に直結しないから嫌だ。
手間だから嫌だ。
初期投資がかかるから嫌だ。
そのようなことを思われている方がもしいれば、
もう一度ご自身の薬局戦略を見直してみてください。
在宅を進めていこうという考えや、地域包括ケアシステムに介入していこうという
考えをお持ちでしたら、地域連携薬局の動向はしっかり見ていかれることをおススメします。
最後に、こんな時代だからこそ原点に立ち返ってみてほしいなと。
薬剤師法の第一条には、こう書かれています。
第一条
薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、
公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。
皆さんの力で、国民(地域)の健康な生活を取り戻しましょう。
子供も大人も笑顔でお年玉を受け渡せる、健康で安心の社会が続くこと。
改めて、そのような未来を築いていきたく、その一助になるよう私たちも邁進していきます。
コラムいかがでしたでしょうか。
ご意見・ご感想、
また、薬局の事業戦略にまつわるご相談など
お気軽にご連絡お待ちしております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。