はじめまして。
中村汐里と申します。
今後定期的にコラムを配信してまいりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
今回は「事業者として地域包括ケアシステムに関わるためにすべきこと」について配信します。
<目次>
★①今更だけど、地域包括ケアシステムって何?
★②なぜ地域包括ケアシステムが必要なの?
★③地域包括ケアシステムは実現しつつあるの?
④どうしてサ高住の整備が進まなかったの?
⑤どうすれば事業者として地域包括ケアシステムに関われるの?
※長くなりますので、2回に分けて配信します。
①今更だけど、地域包括ケアシステムって何?
このコラムをご覧いただいている皆様はもちろんご存じのことかと思いますが、
念のため・・・
「地域包括ケアシステム」とは、医療や介護が必要な状態になっても
住み慣れた地域で自分らし い暮らしを続けることができるよう
住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域を創る、
その仕組みのことです。
②なぜ地域包括ケアシステムが必要なの?
ご存じの通り、地域包括ケアシステムはの中心となるのは「住まい」です。
出典:厚生労働省 – (リンク1-4)地域包括ケアシステム
ここでお伝えしたいのは「なぜ地域包括ケアシステムが必要なのか」
つまり、
「なぜこれまでのように病院・施設でなく、住まいを中心とした医療・介護のネットワークが必要なのか」
についてです。
それはずばり「医療保険・介護保険の削減」そして「医療人員・介護人員の削減」のためです。
まず「医療保険・介護保険の削減」についてです。
少子高齢化の中、医療・介護の業界においては、
国の収入が減少(=税金を納める生産年齢人口が減少)する一方で、
支出が増加(=医療・介護の保険を多く利用する高齢者人口が増加)し、
さらなる赤字が想像されます。
出典:厚生労働省 – 参考5 年齢階級別1人当たり医療費(平成25年度)(医療保険制度分)
上のグラフ(左)の通り、75歳を超えると、医療費が急激に増加します。
69歳までは1カ月50万円以下だった医療費が
75歳~79歳になると80万円近くなり、
85を超えると100万円以上となるのです。
グラフ(右)をご覧いただくと分かるように、
この医療費の大半が入院費です。
これまでは、多くの高齢者が「社会的入院」により多くの医療費を使ってきました。
この医療費の行政負担を減らすためには、
高齢者の「社会的入院」を減らし、
施設や自宅で暮らしてもらわなければなりません。
もちろん、医療度・介護度の高い方は
特養や老健などの介護施設へ入所します。
しかし、施設よりも在宅介護の方が財政負担も小さいですから、
国としては「可能な方は在宅で医療や介護を受けてください」という訳です。
次に「医療人員・介護人員」の削減についてです。
これも上記と同様に、働き手が減り高齢者人口が増える訳ですから
当たり前に、更なる人手不足が予測されます。
2025年に団塊の世代が75歳以上を迎えます。
これは、急激に医療費が増え、働き手が減るということを意味します。
そのため、地域包括ケアシステムもこの2025年を目途に構築を目指しています。
③地域包括ケアシステムは実現しつつあるの?
地域差はありますが、答えは「No」です。
ここまでお読みいただくと
「社会的入院を避けるために退院となった人は、本当に在宅で暮らせるの?」
「人手不足なら、なおさら施設のように集まって住んでもらう方が良くない?」
と思われた方も多いのではないでしょうか。
その通りで、個人宅で医療・介護を受けることは簡単ではありません。
それほど重い介護を必要とはしていなくても
「1人で暮らすのは不安。」という方も多くいらっしゃいます。
また、事業者側としても1軒1軒の個人宅を回って医療・介護サービスを提供することは非効率であり
そのための人員を確保するのも中々難しいものです。
そこで進められたのが、集合住宅の整備です。
特にサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)については、
2020年までに60万戸の整備を目標としていました。
しかし、実際には2019年時点で約25戸に留まっている状況です。
地域包括ケアシステムの中心になるのが住まいですから、
高齢者の安心して暮らせる住まいが整備されなければ、
地域包括ケアシステムを構築することはできません。
整備状況から考えると、
地域包括ケアシステムというよりもむしろ、
地域包括ケアシステムを進めるための準備(=集合住宅の整備)が遅れていると言っても良いかもしれません。
ではなぜサ高住の整備が進まないのか・・・
そして、どうすれば事業者として地域包括ケアシステムに関われるのか・・・
※補足
高齢者向け住宅の都道府県状況も国土交通省のサイトに掲載されています。
お住まいの地域はいかがでしょうか。
出典:国土交通省 – 第3回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料 2020/01/29資料2
コラムいかがでしたでしょうか。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。