いきなりですが、
皆さんは、歯磨きしますか?
おそらく全員しますね。
では、
今使っている歯ブラシを思い出してください。
その歯ブラシのブラシ部分って、
どうなっていますか?
歯に直接あてて、磨く部分です。
この部分って、
皆さんが子供のころ、
もっと長くなかったでしょうか?
いつの間にか、短くなっています。
まあ、短い方が、
磨きやすいですよね。奥まで届きますし。
だから、最近の歯ブラシは、
ほとんどがブラシ部分は短いものばかりです。
実は、
このブラシが短くなるこのタイミングで、
歯ブラシ市場のシェアが変わりました。
ブラシが長い歯ブラシばかりだったころ、
歯ブラシや歯磨き粉、オーラルケアを総合的に展開する、
「A」という会社がありました。
「A」は、世界中で大きなシェアを持っていました。
あるとき、
「B」という新規参入企業が現れました。
この「B」は、
消費者がより磨きやすい歯ブラシを求めていることに気づき、
ブラシの短い歯ブラシを開発しました。
「B」の提供する歯ブラシは、
瞬く間に市場で受け入れられ、
急速にシェアを拡大してきました。
では、この間、
「A」は何をしていたでしょうか?
急速に自分たちのシェアが奪われている。
そんなタイミング。
客観的にみれば、
「A」は「B」の商品を参考に、
短いブラシの歯ブラシの提供を始め、
シェアを奪い返すべきです。
では、
「A」はそうしたのでしょうか?
答えは、
No.(ノー)
です。
「A」は、
ブラシの長い歯ブラシのみの提供を続け、
結果的に大きくシェアを奪われてしまいました。
では、なぜ「A」は、
短いブラシの歯ブラシを売らなかったのでしょうか?
それは、
「歯磨き粉も売っていたから」
です。
歯磨き粉は、
ブラシをカバーするようにつけます。
つまり、ブラシが短くなると、
歯磨き粉のニーズが下がります。
「A」は、
歯磨き粉の売上が下がる懸念から、
短いブラシの歯ブラシに参入できませんでした。
そうこうしている間に、
シェアトップから落ちてしまい、
売上は大きく下がってしまいました。
市場での成功体験が、
逆に足かせとなり、事業展開を失敗した事例です。
これは、
歯ブラシ市場に限ったことでしょうか。
これは、他の市場、薬局市場でも、
同じことが起こります。
成功体験というのは強烈なインパクトがあり、
次の事業展開の基点にもなりますが、
逆に動きを制限し、市場の変化に乗り遅れてしまうことがあります。
これは、変化が激しい市場では、
顕著に起こります。
まさに、薬局市場を含め、
社会保障制度改革が進む、
医療介護業界は当てはまるのではないでしょうか。
皆様、
上の例のような、
歯磨き粉の売上に固執し、
変化ができないことはないでしょうか?
もし、そういった可能性があれば、
一度、問い直してください。
「顧客は何を求めているのか」
顧客の声からスタートすれば、
市場の変化から残されることはありません。
こんな認識が頭にちょっとでもあると、
事業リスクが少し下がるはずです。
少しでも、
皆様の事業展開の参考になれば幸いです。
※本日の事例は、
私が以前師事していたコンサルタントから聞いた話です。
具体的にどの会社かはお答えすることはできません。
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