【サービス】新規事業(高齢者向け住宅事業)の立ち上げコンサルティング
【既存事業】調剤薬局
【地 域】中国地方
【期 間】2019年5月~現在
Case.1
【サービス】新規事業(高齢者向け住宅事業)の立ち上げコンサルティング
【既存事業】調剤薬局
【地 域】中国地方
【期 間】2019年5月~現在
処方元であるクリニックの院長先生の高齢化により、薬局だけで経営を続けることに不安を感じていた。
将来的にご子息に事業承継するにあたり、調剤薬局以外にもう1本会社の柱が欲しい。
門前のクリニックだけに頼らない薬局に変わりたい。
事業承継までに薬局以外の収益源を作りたい。
社長のお悩みを聞いて、私達は思い切って「高齢者の住まいをつくる」ご提案をしました。地域の高齢者に住まいを提供し、これまでは待っていることしかできなかった顧客を、この事業者自らが自分の力で確保できます。
また、住宅の提供により、自らが地域包括ケアシステムの中心となれます。つまり、将来的には調剤薬局・高齢者向け住宅に限らず、更なる事業展開を目指すことが可能です。
きちんと入居率を維持できる住宅になるため「高齢者の暮らしやすい住まいとはどのようなものか」を徹底的に追及しました。
まず、薬局の周辺地域を調査したところ、特に要介護度1~2の方が自分のお財布(主に年金)の範囲内で安心して暮らせる住宅が不足している状況にあると判明しました。高齢者の所得状況から考えると、「住むこと」と「食べること」を10万円以内に抑えた住宅の提供が必要であると仮説を立てました。また、高齢者が入院する場合の自己負担額が平均10万円程度であるという背景を踏まえると、退院後に自宅に戻るのがご不安な方でも、この価格帯であれば安心してご入居いただけると考えました。
後に、地域の病院様へご挨拶周りをした際には、この価格設定から退院の受け入れ先としてご興味をお持ちいただき、高齢者や地域のニーズとも合っていると確信しました。
今回の住宅事業では、希望者に自社の介護を使っていただけるよう、訪問介護事業も同時に立ち上げました。
訪問介護事業開業に向けた最大の不安点は採用です。まずはこの求人に対する求職者の反応を見るため、ハローワーク主催の就職フェアに参加しました。開業まではまだ10カ月程ありますので、採用活動を開始するには早すぎるくらいの時期でした。不安とは裏腹に1日で8名の求職者と面談を実施できました。
以下は、就職フェアで求職者からいただいた声です。
・給与が良いため話を聞いてみたいと思った
・介護度が低いため身体(腰)への負担が少ないため興味を持った
・介護より生活の支援が中心であるため介護初心者でもハードルが低かった
結果、この就職フェスから3名の採用につながり、その後開業までに余裕をもって必要人員の採用ができました。「効率のよい運営により頑張った人にはきちんと良い給与を出せる仕組みをつくったこと」また「介護度の低い人をターゲットとし、重たい介護が少ないこと」が採用成功のポイントとなりました。
着工を前に、建設予定地周辺にお住まいの方々から多くのお問い合わせがありました。いただいたお問い合わせに回答するため、建設会社とも協力し、近隣住民の方へ向けた説明会を開催しました。
・高齢者向けの賃貸住宅が建設されることで
自分達の生活にどのような影響があるか
・どんな高齢者が住むのか
・徘徊しないか
・うるさくないか
説明会の冒頭では、上記のような批判的なご質問が多くありました。
しかし、きちんと事業内容や目的について説明をすると、次第に「入居費用はいくらか」「いつ完成するのか」等、興味を持ったご質問も多くいただくようになりました。
最終的には、参加者の中のお一人に「私はこの企業の想いに賛同する。立派だ。」とのお声をいただく程、皆様の心配事は解消されたようでした。こうして、無事近隣の皆様にもご賛同いただけました。
新規事業ですから、この会社の代表者様はオープンした今でも様々な不安や苦労を抱えながら動いていらっしゃいます。ただし、この不安は以前のような「薬局だけで生き残れるか」というネガティブなものではありません。日々出てくる問題を1つ1つ一緒に解決しながら前進しています。
運営を開始してから、入居者、ご家族、ケアマネや病院の方々から直接悩みやご要望をうかがうことができました。まずは、1棟目を成功させることが最優先ですが、実は既に2棟目の候補地を探しつつ、地域の皆様のご要望を叶えるべく他事業への展開も構想しています。
無事にオープンし安心しましたが、これからが本当の勝負です。
今後も全力で支援してまいります。
担当コンサルタント:中村汐里